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5月18日(土)講座⑪アートの書き方【基礎編】(講師|福住廉 美術評論家)

2019年05月25日

令和最初のアートコミュニケーター講座は「アートの書き方」。「アート」を「かく」というと例えば絵画を描くことを想像されるかもしれませんが、今回書くのは「文章」です。

今年度から始まるアートコミュニケーター活動の柱のひとつとして、「鑑賞レポート」があります。例えば美術の展覧会や音楽会を観て感想を書いたり、分析をしたり…という文章を、コミュニケーターがwebで発表することを予定しています。そのために、まずは文章の書き方を学ぼう!というのが今回の講座の趣旨。【基礎編】の今回は、文章の構造や成り立ちを読み解きます。

教えてくれるのは、美術評論家の福住廉さん。あちこちの展覧会に足を運んでは、鋭い評論を発表しています。

まず配られたのは、3枚の紙。それぞれ、展覧会評などの短い文章が書いてあります。この紙を手掛かりにして学ぶのは、ズバリ「文章がどういうルールと構造に則って書かれているのか」。ポイントは4つあります。

①段落ごとに意味を書き分ける

②「具体例」を「論点」ではさみ込む

③対比を使いながら文章を書いていく

④ひとつひとつの文章を短くする

福住さんのガイドに従い、文章にそれぞれのポイントがわかるように書き込みをしていきます。そうすると、パッと読んだだけでは気づきにくい文章の構造が一目瞭然になります。文章を書くとき、この構造をあらかじめ意識すると、自分の言いたい事が明快に表現できるとのこと。

コミュニケーターさんも真剣なまなざしで文章で向かいます。なるほどなるほど、という声が聞こえてきそうです。

文章の構造を考えたところで、質問タイム。「結論から書いた方が良いのか」「語尾は言い切った方が良いのか」「主語は必ず入れた方が良いのか」「書き言葉と話し言葉の違い」等々、具体的な質問が飛び出します。

お昼ごはんを食べて午後はワークショップ。まず福住さんから、キュレーターの櫛野展正さんの活動が紹介されました。櫛野さんは「日本で唯一のアウトサイダー・キュレーター」。いわゆる「美術作家」「アーティスト」とされている人に限らず、様々な人の表現活動を見つけ出しては紹介する人です。

櫛野さんの活動をまとめた映像を見ながら、短いキーワードをカードに書きだします。その後、各々書きだしたカードを手元に広げて、他の人と話をします。話をする人を入れ替え入れ替え…カードはどんどん増えていきます。

そうして出てきたキーワードを並び替えて整理しながら、「比喩の構造」「対比の構造」等々を作り出し、文章を書いていくプロセスが示されます。

という所で講義終了!今回は宿題があります。展覧会や音楽会をみて、400字程度でレビューを書くというもの。7月にまた福住さんが来札した時に、添削をしてもらいます。

全国各地で講座を持っている福住さんですが、SCARTSのアートコミュニケーターは特に活発だったようで、驚いていました。福住さん曰く、「文章を書くのは孤独な作業。でも、文章を書く前段階として発想を膨らませたりする場面では、人と話をする事がとても有効」とのこと。人によっては、アートは「言葉で語るもの」はなく「感じるもの」と思われるかもしれません。でも今回の講義をつうじて、みんなでワイワイと感想を言い合ったり、悶々と考えを凝らして言葉にしたりすることで新しい発見が生まれる、その面白さを実感することができたのではないでしょうか。

(アートコミュニケーション事業担当 齋藤)

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