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7月6日(土)選択講座①アートの書き方【実践編】(講師|福住廉 美術評論家)

2019年08月18日

5月にもお招きした、美術評論家の福住さんがアートコミュニケーター講座に再登場。前回は【基礎編】として文章の書き方をレクチャーしていただきましたが、今回はいよいよ実践編です。

講座のスタートではまず、いくつかの短い文章を例に、テキストの構造を読み解きます。ポイントのひとつは「語尾問題」。文章の最後の「語尾」をなるべく重複させず、バリエーションを増やす方法が解説されました。

「語尾」というと細かなポイントに思えますが、これは、前回の講座を受けてのものです。前回の講座の最後で、美術展やコンサートのレポートを書くことが課題として出されていました。受講生の文章を読んだ福住さん曰く、文章全体を通してどう段落を構成するか、という点については、とてもよくできていたとのこと。そのため、全体の構成を作った上で、ひとつひとつの段落の中の文章の精度を上げる事に取り組んでほしい、とのことでした。

話は盛り上がり、今回もコミュニケーターさんからいくつも質問が飛びます。特に印象的だったのは、「レビュー記事を書くにあたって、作家が作品に込めた意図を調べるのか?」というもの。福住さんはインタビュー記事と比較させながら、レビュー記事は「文章を書いた人の表現」であり、必ずしも作家の意図を書くことではない、と答えました。

さて、質問タイムが終わったところで、いよいよ受講生に課題が返されます。課題は自由提出だったのですが、出席者のほぼ全員が執筆してくれました。中には3本も書いてくれた猛者も。アートコミュニケーターの勢いに福住さんも驚いた様子でしたが、返された課題にはびっしりと赤い字でコメントが書かれていました(福住さん、たくさんの添削、ありがとうございました!)。

何人かの提出課題を例にして、よかったところが説明されます。話の発展のさせ方、話の一貫のさせ方、書き出しでの興味の持たせ方。各々の文章の特徴が、すっきりと言語化されていきます。

午後はみんなで、それぞれの課題を読み合って、お互いにコメントを交換していきます。前回もあったように、文章を書く上では、人と意見交換をしていくことがとても重要とのこと。特に、webで文章をアップする時には、書き手が書いた文章をそのまま掲載できてしまうので、かつてであれば書籍の編集者や新聞記者が担ってきた「校正・校閲」の専門性が失われているのでは、という福住さんの危惧も聞くことができました。アートコミュニケーターはこれから、展覧会やコンサートのレビューを、web上で発表していきます。これまで培ってきたメンバー同士の信頼関係をフルに活用し、文章の能力を高め合っていくヒントを得られた講座だったのではないでしょうか。

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