HOME10月20日(土) 講座③作品を鑑賞するとは? (講師|山崎正明 北翔大学教授)

10月20日(土) 講座③作品を鑑賞するとは? (講師|山崎正明 北翔大学教授)

2018年10月22日

SCARTSアートコミュニケーターの活動の1つとして、
「鑑賞者との対話を通して、作品との出会いの入り口をつくります」とあります。
https://www.sapporo-community-plaza.jp/artcommunicator.php

 

11月23日(金・祝)の実践活動①「対話による観賞」に向け、準備開始です。
舞台は、11月に開催される「さっぽろアートステージ2018」です。
ついに、SCARTSアートコミュニケーターたちがプレイヤーとしてデビューします。

今回の講座では、【作品を観賞するとは?】と題して
山崎正明先生(北翔大学教授|https://yumemasa.exblog.jp/)から
実践活動①「対話による観賞」のファシリテーターとして
活動するための心構えやテクニック、
そして何より、この活動を行う為の核となる
その意義や魅力、面白さについて、
レクチャーと体験により立体的に学びます。

 

「対話による観賞」は、美術館で行われているような
学芸員や作家の解説を聞いたり、一方的に説明を受ける
観賞サポートではありません。
ファシリテーターや他の観賞者と共に、
1つの作品をじっくり見て、語り合いながら、
新たな発見や気づきを共有することで主体的に観賞を深めていく手法です。

そういいつつも、
作品の背景や作家の意図や思いをといった
作品の情報を伝えない観賞サポートに対し、
まだ戸惑いのあるアートコミュニケーターたちでしたが、

山崎先生の
「作品は見る人がいなければ単なる物質にすぎない」
「見る人が作品をつくる」
という言葉が、
みんなの背中を押してくれたように見えました。

 

お話しを伺った後、
山崎先生が中学生たちと共におこなった
「対話による観賞」の授業映像を見ました。
中学生たちがどんどん絵の世界に入り込んでいき、
細部について注目し、想像力を働かせ発言していくようすが印象的でした。

そして少し休憩を挟み、
ついに、山崎先生のファシリテートをもとにアートミュニケーターたちが
実際に「対話による観賞」を体験。

アートコミュニケーターたちからの発言に対し、
山崎先生が本当に楽しそうに耳を傾け、
「なるほど、そう見えますね。面白いな~」と優しく声をかけてくださるので、
どんどん意見や感想、発見についての発言が飛び交い、
笑い声と共に対話が盛り上がりました。

 

その後は、山崎先生の体験談を聞きながら、
ファシリテ―ションのポイントについてまとめました。


〇一人でじっくり作品を見る時間をつくる

〇よく聞く(受容 ・ どの意見も受け入れる)

〇 開かれた問いを投げかける 「何が見えますか?この絵の中で何がおこっているか、気がついた事を聞かせてください」

〇 根拠を問う 「作品のどこからそう思いましたか?」

〇 発表をつなげる (観賞者同士の発言を関連づける・対比させる)

〇 発表を広げたり、深めたりする 「他にもっと発見はありますか?」「~に関連して他にありませんか?」

〇 途中で対話の内容を整理しながら進める(まとめる ・ 色や風景、人物など、いままでの発言をまとめて言いかえる)

〇 指名しながら進めないことを基本とする(指名すると発言が並列で終わってしまう)

〇 オープンエンド(最後にまとめなくてよい  ・ 「実はね・・・」ファシリテ―ターの作品の見方を通して理解するようなまとめは、今までの対話を前座にしてしまう)


 

午前中のレクチャー後の質問タイムでは、
作品の選び方や、
作者の意図や作品の背景などの情報の扱いについてなど、
沢山の質問が飛び出し、話しが止まりませんでした。

 

午後は2組に分かれ、午前中に学んだことをもとに、
実際に「対話による観賞」のファシリテーターを実践しました。
(1人15分程度)

 

「まずは見てみましょう」と声をかけ、
一人でじっくり作品と向き合う時間(1分)をつくります。
そして、「何が見えますか?気がついたことを聞かせてください」と
観賞者へ開かれた問いを投げかけ、対話が始まります。

 

ファシリテーターとして前に立つアートコミュニケーターも、
観賞者として参加するアートコミュニケーターも、
夢中で絵を見て、仲間の話しに耳を傾け、考え、発言することで、
「対話による観賞」における重要な要素、【見る・考える・話す・聴く】を体験できました。

 

観賞後は、一人ひとりのファシリテ―ションについて
山崎先生からポジティブなアドバイスをいただきました。

 

見ているのと実際にやってみるのでは、印象が違ったかもしれません。
しかし、ファシリテーターを体験してみて、
観賞者の意見を聞き、言葉をつなげていくことで
人同士のつながりが生まれていく場づくりに
魅力を感じたメンバーが多かったようで楽しそうです。

 

山崎先生のお話の中で、
「対話による意味生成的な観賞」という言葉が、
とても印象に残っています。
参加してくれる観賞者の方々にとって、
また、ファシリテーターを務めるアートコミュニケーターたちにとっても
それぞれにとって意味や価値を生み出せる時間が
共有できたらと思いました。

(アートコミュニケーション事業担当 渡部)

 


<お知らせ>

SCARTSアートコミュニケーター 「対話による観賞」

「見る・考える・話す・聴く」という4つの要素を基本に、アートコミュニケーターや他の鑑賞者と対話を通して楽しく作品鑑賞をおこないます。途中からでも途中まででもご参加いただけます。
作品解説や音声ガイドとはまったく違う「対話による鑑賞」、是非体験してみませんか?

11月23日(金・祝)
①10:00~11:00  ②11:15~12:15
③14:00~15:00  ④15:15~15:15

 


 

 

 

 

 

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