PMF2019を振り返って

パシフィック・ミュージック・フェスティバル札幌(PMF)

音楽

2019 07/04

2019 08/02

UP:2019/08/18

 すこし時間が経ってしまいましたが、7月に開催されたPMFについて書きたいと思います。私が毎年この音楽祭を楽しみにしている理由は、ずばり、そこで聴ける演奏の素晴らしさです。確かな技術と若さの勢いを持ったアカデミー生、名門オーケストラでの経験も豊富な練達の教授陣、そして世界的な指揮者。この三者が一つになるPMFオーケストラは、驚くほど高水準で感動的な演奏を、これまで何度も聴かせてくれました。
 今年も、R・シュトラウスの「薔薇の騎士」組曲や、ショスタコーヴィチの交響曲第四番など、期待に違わぬ素晴らしい演奏が聴けましたが、なかでも印象に残ったのは、7/20、21にPMFプレミアムコンサートと題されて行われた演奏会です。曲目は、マーラーの交響曲第八番。初演時に合唱とオーケストラ含め千人で演奏されたことから、「千人の交響曲」とも呼ばれる曲です。世界的な巨匠エッシェンバッハ指揮のもと、PMFオケと、多くの札幌市民の方が参加された合唱団は、感動的な演奏を聴かせてくれました。
 そして、更に、この演奏会が印象深いものになったのは、私の知人が合唱団に参加されていたことです。ちょっと大げさですが、そのことで、今までにないステージとの一体感を覚えました。また、終演後、知人を含めた合唱団のみなさんとお話しすることが出来たのも楽しい思い出となり、この音楽祭を通じて人の輪が広がった思いがしました。
 30周年を迎えたPMFですが、課題も多いと思います。残念ながら、私の周りには、音楽祭がいつ始まっていつ終わったのかさえ知らないという方も多くいます。クラシック音楽自体が一般的に馴染みが薄いというのも事実です。しかし、せっかくの素晴らしい音楽祭ですから、同じ街に住むもの同士が、もっと繋がりをもてる機会になることを願っています。ということで、まず私は、来年はもっと多くのひとに声を掛けて、コンサートに誘ってみようと思っています。

朝日泰輔

レポート

朝日泰輔