表現主義者・岡部昌生

500m美術館vol.29「大地の物語」

札幌大通地下ギャラリー 500m美術館
アート

2019 04/13

2019 06/26

UP:2019/07/31

今期開催された(2019年4/13~6/26)札幌大通地下ギャラリー500m美術館のテーマは「大地の物語」。注目したのはフロッタージュ(擦り出し)という手法を用いて、その土地の記憶や歴史の痕跡、人間の営みを紙に写し取る美術家・岡部昌生である。何回も足を運ぶことで作品との対話だけでなく、作者自身が美術表現を通じて社会へ警鐘を鳴らしているのだと気づかされた。

作品に共通するのは物言わぬ「証人」の叫びである。写し取られた紋様が記憶を再生する。都市の記憶・土の記憶・木の記憶・戦争の記憶など、どの作品を見ても「人」が「人の手」が生み出す積み重ねた時間が現実を直視している。


東日本大震災による原発事故で切り倒された御神木がまさに核廃絶と平和への深い祈りを投げかけていた。作品との距離感もよく、じかにゆっくり向き合えたのもよかった。次世代の人に危機感をもって是非見てもらいたいと思った。

Kazuko Tanaka

レポート

Kazuko Tanaka