『札幌美術展 砂澤ビッキ―風― 』鑑賞レポート
札幌美術展 砂澤ビッキ ―風―
札幌芸術の森美術館
アート
2019 04/27
|ー2019 06/30
UP:2019/08/21
『砂澤ビッキ-風-』展の会場に足を踏み入れ、目に飛び込んでくるのが《四つの風》の記録映像だ。全く同じ形の巨大な柱が4本弧を描くように並んだこの作品は、内3本が倒壊した今もなお有無を言わせぬ存在感で屹立している。他の作品にも通ずることだが、シンプルな線で切り取られた大きな木の塊がなぜこうも我々を圧倒するのだろうか。
展示されていた作品は見たことのない形ではあったがどこか生き物らしいところがあった。同時にまざまざと木目や節目をさらけ出し、あくまで作品が木でできていることを主張している。木は何かを形作るために利用される単なる媒体ではなく主体の一部に押し上げられている。
そこでは作品が木の塊であるか、それとも何かの生命体を模したものであるかはもはや問題ではない。木であることと何かの生命体であることが混然一体となり、そのいずれも超越してゆくものとして我々の認識に訴えかけてくる。砂澤ビッキの作品を目の当たりにしたとき、我々は彼が生み出した一つの極致に感じ入っているのかもしれない。