「Danzon(ダンソン)」を聴いて

『Danzón(ダンソン) 〜コープランド、バーンスタイン、ウォーカー、ピアソラ、マルケス』原田慶太楼&NHK交響楽団

音楽CD
その他音楽

2021 06/23

UP:2021/07/14

原田慶太楼の指揮とNHK交響楽団の演奏による、発売されたばかりのCD「Danzon(ダンソン)」を聴いてみました。これは聴いていて本当に楽しく、そしてある意味画期的な録音だと言えるでしょう。

曲目は、バーンスタイン、ピアソラ、コープランドといったアメリカや南米の作曲家のもので、更に、そのほとんどはバレエやダンスのための曲。N響はクラシック音楽の保守本流ともいうべきドイツ・オーストリア系の作曲家の曲をメインのレパートリーとしており、それを考えると、このCDの曲目は異色です。

そうした、N響にとっては珍しい曲目ですが、高い演奏技術に裏打ちされた緻密なアンサンブルという「らしさ」に、これまでにないノリの良さという「新しさ」が加わって、正に画期的とも言えるような演奏を披露してくれています。

そして、この老舗オーケストラから、今までにない魅力を引き出した原田慶太楼の指揮は本当に素晴らしい。インターナショナルスクールの中学生の時にサックスを始め、ブロードウェイのミュージシャンを目指して渡米し勉強するうちに指揮者の道へ進むことになったという、これまた異色の経歴の持ち主。近年、日本人の優秀な若手指揮者がたくさん出てきていますが、その中でも際立つ個性の持ち主です。

嬉しいことに、この7月に札幌で2年ぶりに開催されるPMFに、この指揮者がやって来ます。曲目は、ガーシュウィンを中心とした、お得意のアメリカ音楽。PMF卒業生たちにより編成されたオーケストラを指揮して、どんな演奏を聴かせてくれるのか、今から本当に楽しみです。

朝日泰輔

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