「Bach and Beyond 無伴奏ヴァイオリンの300年間」飯村真理ヴァイオリン・リサイタル鑑賞レポート

Bach and Beyond 無伴奏ヴァイオリンの300年間

札幌コンサートホールKitara
音楽

2020 08/26

UP:2020/11/05

提供:札幌コンサートホールKitara

クラシック音楽は古くて新しいジャンルと言える。18・19世紀あたりに書かれた曲が主なレパートリーであるのに加えて、現代の作曲家によって今まさに作品が書かれているからだ。しかし残念ながら、20世紀以降に書かれた曲は難解として聴衆から敬遠されている。

無伴奏ヴァイオリン・ソナタとは、ピアノなどの伴奏なしに、一挺のヴァイオリンのみで演奏される楽曲のこと。とりわけバッハの曲が有名で、音楽史上の傑作とされている。「無伴奏」といえば、バッハの曲を指すと言っても過言ではない。「Bach and Beyond」と題された今回の演奏会では、このバッハの傑作と共に、そこから影響を受けた20世紀の作曲家たちの楽曲が演奏された。

客席にはバッハだけで充分と思った人も多かっただろう。難解な現代音楽など御免だと。しかし、これらを同時に聴くことは意義深い。何故なら、20世紀を生きた人間にしか書けない曲があるからだ。現代に無伴奏ヴァイオリン・ソナタを書くというのは、バッハの音楽と私達の時代がコラボレーションするということではないだろうか。バッハの技と魂を感じながら、現代人の心を表現するという意味で、時空を超えたコラボだと言える。そして、現代の音楽を経た後に聴くバッハは、より普遍的な音楽として心に響く。作品は時代を越えて共鳴し、より豊かな音楽として私達のもとに帰ってくるのだ。

「Bach and Beyond」は、無伴奏ヴァイオリン・ソナタの300年間の歴史を俯瞰する意欲的なプログラムであり、どの楽曲も血の通った音楽として、素晴らしい演奏を聴くことができたコンサートだった。

鑑賞データ
日時:2020年8月26日
場所:札幌コンサートホールkitara小ホール

朝日泰輔

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朝日泰輔