沢則行 トーク&小公演「人形劇の惑星」

SCARTSステージシリーズVol.002

SCARTSコート1F
トーク人形劇

2020 10/20

UP:2020/10/23

沢則行氏は、1991年に渡仏。92年に文化庁在外研修生でチェコへ。
以降、プラハを拠点に世界各国で公演をしている人形劇師です。4年前、札幌市こども人形劇場こぐま座40周年記念特別公演「OKHOTSK -終わりの楽園-」で氏と出会いました。

子どもは大人のふるさと。・・・私たちは誰しも、かつて子どもだった時がありました。子どもの時に出会った優れた人形劇は、不思議な、魅惑に満ちた力で子どもを捉え、心に焼きついてしまいます。
もちろん、内容を全て理解する力は子どもにはありませんが、物語の中の悲しみや喜びや勇気などは、子どもなりにいろいろイメージをもって見ていることだと思います。そして、それはとても大切なことだと感じます。

人形劇は、子どものものであると同時に、それ以上に大人のためのものでもあるような気がします。今回、沢さんのシンプルなステージから生まれる心あたたまる話も、思わず吹き出してしまう話も、チョピリ怖い話もみんな私たちの鋭敏な感性をフル回転させて、魂を揺さぶり、有無を言わさず物語の世界に引きずり込む力をもっていました。
ひと言で言うと、もはや人形というより人間・・・いいえ、人間を越えたもの、かもしれません。それほどまでに、目の前にいる生身の人間が行動し、話しかけ、それに対して目の前にいる生身の人間が感応し、相互に影響しあい交流する、ひどく原始的で素朴な、この人間的な作業が、たとえ束の間にせよ、確かに生きているという「よろこび」を実感させてくれました。

演者や話し手は言うまでもありませんが、本番以前の、主催する側の姿勢が、不思議なくらい正確に、見に集まる側の姿勢に反映すると言われますので、この成功は、主催者、観客、演者、それに関わるすべての人たちが心を寄せ合った共同作業の結果だと確信します。とても贅沢で、本当に素晴らしい時間でした。

Kazuko Tanaka

レポート

Kazuko Tanaka