豪華二大女優の共演 日仏融合ヒューマンドラマ、ついに誕生!

真実

札幌シネマフロンティア
映画

2019 10/11

UP:2019/10/15

世界最古の歴史を持つヴェネチア国際映画祭。

第76回目の今年度のコンペティション部門に選出され、オープニング上映された是枝裕和監督の最新作品『真実』。日本人監督が手がける作品がオープニングに選ばれるのは史上初の快挙だ。

このニュースに加えて、観る前から密かに気持ちが高揚してワクワクしていたことがあった。その理由は、この作品でフランスの大女優 カトリーヌ・ドヌーヴとジュリエット・ビノシュが初共演となったこと!憧れの2大フランス女優が是枝監督の作品で運命の豪華共演を果たしたからだ!

木々の葉が緑から紅葉に移り行く風景。舞台は晩秋のパリ。主人公の国民的大女優ファビエンヌ(カトリーヌ・ドヌーヴ)が暮らすパリの自宅にニューヨークで脚本家をしている娘のリュミール(ジュリエット・ビノシュ)が夫と娘と一緒にやってくる。ファビエンヌは自伝本『真実』の出版を控え、刷り上がった自伝本が自宅に届きリュミールは一晩で読み上げたが、その内容には偽りが多く戸惑いを隠せない様子。そこから母と娘の愛憎渦巻く出来事が露になり、周囲の人をも落胆させるのだが・・・。物語の大半はこの家の中で繰り広げられる、ひと家族の人間ドラマ。

登場人物の人生のディテールがリアルに細かく描写されていて、監督はどの登場人物にも愛を注いでいて惹きつけられ、是枝ワールドがいたるところに現れていた。特に母娘の間の心理を掘り下げた究極な親子愛を、嘘や見栄や誤解、そして和解と喜びなど人生の喜怒哀楽のありったけの感情が詰め込まれている。それだけ見ると重いテーマだが、軽妙で明るくウィットにとんだ展開と毒のあるユーモアな台詞でコメディータッチ。思わずクスッと笑えるシーンもあり、シリアスでジワッ~と目頭熱くなるシーンもあり、ファンを唸らせる心憎い仕掛けもありと、練りに練り上げた作品だなと感じ私の心と身体も熱くなり、構想8年間という監督の情熱が察知できる。

ストーリーに触れるのはこのくらいにしておき、この作品を見終わって特別魅せられたこと記憶に残ったことの一つ、それは二人の大女優と脇を固める女優の存在感。監督はあらゆる角度から女優の内面外面の美しさとオーラを捉えていて、そこには女優たちと監督との信頼関係が伝わってくる。あらゆるショットとシーンにそれぞれの美しさが映し出され見とれてしまい、不思議な魔力のようなもので引き込まれていった。ドヌーヴの貫禄と優雅さ、チャーミングさ。ビノシュの確かな名演技としなやかさや着こなし。

2階の部屋の出窓を開けたクロースアップのドヌーヴ、ドレッサーの前に座り美しい髪をとかすドヌーヴが特に忘れられない。何気ないシーンにこそ大女優の存在感の凄みが宿っていた。監督の女優への慈愛で胸がいっぱいになった私は、まるで滋味深く温かい美味しいスープを飲んで幸せになった気分だ。

Maki Tanaka

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Maki Tanaka