反骨の創造性 鑑賞レポート
500m美術館 vol.33 反骨の創造性
札幌大通地下ギャラリー 500m美術館
アート
2020 05/16
|ー2020 11/18
UP:2020/08/30
タイトルの「反骨」という言葉のイメージとは対照的に、鈴木涼子の作品は、一見すると何の変哲もない北海道の山林風景写真であった。しかし、彼女が猟銃でしとめた鹿が最後に見たであろう景色であるという説明文により、一気に熱を帯びてくる。
さらに、実際に使われた狩猟時の装備や鹿の角が展示され、その横には小動物目線で山の中を駆け回る動画が流れている。静かだった作品は急に騒がしくなり、遠くに銃声が聞こえるような錯覚を起こし、生と死の一瞬の狭間を疑似体験しているようだった。ただ、そこには一服の清々しさもある。
先人たちがこの厳しい北海道で生き抜いてきた精神、それこそが「反骨」である。生きて暮らして、子孫をつなげていくためには多くの工夫と創造性を育んできたことだろう。4名の展示作品全体を見てそう感じるのは、自分にも開拓者の精神がDNAのように受け継がれているからなのだろうか。