~哀愁のピアソラ・タンゴ~
Kitaraのニューイヤー
2020 01/11
UP:2020/04/12
先日札幌交響楽団が演奏するニューイヤーコンサートを聴きに久しぶりにKitaraを訪れました。バーンスタインのミュージカル「ウェスト・サイド・ストーリー」やピアソラのタンゴ、そしてヨハン・シュトラウスのワルツでお祝いです。お目当てはバンドネオンの三浦一馬氏が奏でるピアソラによるバンドネオン協奏曲「アコンカグア」。
ピアソラといえば、タンゴ界の革命児。彼は伝統的なタンゴにロックやジャズ、クラシックなどの音楽をあえて取り入れて、独自のスタイルのタンゴを生み出したことで有名な作曲家です。
今回の「アコンカグア」はバンドネオンと弦楽・打楽器のための協奏曲。まさにバンドネオンのためと言っていいくらいクラシック音楽には想像以上に馴染む曲目でした。
心と体を揺さぶる哀愁に満ちたそのメロディーは、伝統的な協奏曲のスタイル(急―暖―急の三つの楽章)から成り立っていました。
●第一楽章:冒頭から情熱的な序奏で始まり、タンゴのリズムに打楽器や弦楽器が勢いを与え、躍動感と流動感が入り混じった即興あふれるリズミカルな旋律がバンドネオンによって奏でられます。
●第二楽章:アンダンテ。たっぷりと歌うバンドネオンの音色にただひたすら酔いしれる中、やがてヴァイオリン、ハープ、チェロが柔らかく寄り添います。
まるで映画音楽を聴いているような美しさに溢れていました。
●第三楽章:再びタンゴのリズムは勢いを取り戻し、打楽器が炸裂するなど独奏楽器の見せ場が多くなり、切れ味の鋭いリズムと遊び心の絶妙な配分で、引き締まりながらクライマックスへ移行します。
何といっても一番の発見は蛇腹の伸び縮みと共に、同じボタンなのに空気の量をどのくらい送るかで、高音のキツイ音が低音のまろやかな音に変わることでした。時折ギィ、ガシャという小さな金属音が、蛇腹をしっかり使うソリストの息継ぎと共鳴しているかのように聞こえて、さらに嬉しくなりました~♪♪