鑑賞の切り口と魅力

Grace island ー恵みの島ー

TO OV cafe / gallery
アート

2020 01/14

2020 01/26

UP:2020/04/12

現代アート鑑賞の魅力のひとつは、自由に意味付けや解釈ができる点にある。作品のイメージを膨らませたり、作家の制作意図を妄想したり、気に入った角度で写真に撮って見返したり。友人と意見交換しながら鑑賞すると、さらに想像力がかきたてられ面白い。

本展覧会は、写真家の大友真志が大東島で撮影した写真をもとに、美術家の白濱雅也がそれらを解釈して想像した物語を文章と絵で表現している。一枚の写真に文章と絵画があてがわれ、それらが十数点展示されている。このコンセプトにより、鑑賞者は複数の切り口で展覧会を楽しめる。たとえば「写真や文章、絵画」など展示作品そのものや、写真から「自分も物語を想像」し、文章から「自分が想像した世界と作家の創造した絵画とのギャップ」に気づくような、鑑賞者が想像力を働かせて鑑賞する楽しみもある。

まず、コンセプトの面白さに惹かれたが、会場に入ると作品自体に目が向く。物語の世界観も面白いが、写真と絵画から受ける印象が異なることに驚いた。写真は沖縄県で撮影されている。その景色からはむわっとした湿度やダイナミックで力強い自然が見て取れる。しかし、絵画は対照的にからっとさっぱりした印象だ。同じ構図なのに、南国ではなくむしろ北海道の風景を描いているように見えた。風景は、写真から物語を経由し絵画へと移る。物語世界を通った後の風景は、元とは違う世界である。このような世界の変容を見ることができるのが面白い。

本企画は、小説や曲などを別の人間が映画や歌など別の形態で表現することを、美術の世界で追及したものだそうだ。たしかに別の作家が作品を解釈し、その想像と創造を見られる場はそうはない。それならば、この企画を立てた作家のコンセプトや、映画や音楽との共通点や相違点の有無について聞きたかった。アーティストトークに行けなかったのが残念だ。もし、考えが聞けたなら、作品だけでなく展覧会自体を楽しむ切り口で鑑賞する楽しさも味わえたと思う。

三宅美緒

レポート

三宅美緒