若き眼差しの先に
500m美術館 Vol35.「emerging artists」ー躍動する新進芸術家たちー
札幌大通地下ギャラリー 500m美術館
アート
2021 10/01
|ー2021 11/24
UP:2022/03/08
「emerging artistsー躍動する新進芸術家たちー」は気鋭の作家8人による展示だ。現代社会への切実な問いを有する作品が地下通路に設置されたガラスケースに並ぶ。
斉木駿介の《スクロールする風景》は、日常生活に溶け込む情景を解体・再構成してキャンバスに描く。既視感のあるモチーフを目にするたび、情報過多な社会に対する疑念と戸惑いが増幅されていく。
和島ひかりの《Self-portrait Museum -Mask Department-》は、立体作品や映像作品を配置したミクストメディアだ。中心となっているのは、一面ピンクの壁に作者自身が書き記した日記である。そこに表れた揺れ動く内心や苦悩が、他方で鑑賞者への内省も促している。
一連の展示は、社会規範や人間関係の綻びに対して警鐘を鳴らしているように思えた。流動し続ける社会の中で、若き眼差しは次に何を捉えるのだろうか。期待は高まるばかりだ。