サイエンティストでアーティスト? 岡碧幸さんインタビュー!

遠い誰か、ことのありか

札幌文化芸術交流センター SCARTS(札幌市民交流プラザ1-2階)
その他特集

2021 10/01

2021 10/10

UP:2022/03/31

《私たちは壁をつくることができる》 2021年に札幌文化芸術交流センター SCARTSで開催された展覧会「遠い誰か、ことのありか」に出品された。壁に投影された映像には、人、カタツムリ、お掃除ロボットが登場する。3者は一見同じ地平にいながらも、見えない「壁」(VR空間、木酢液、バーチャルウォール)によって区切られた行動範囲の中で、お互いが交わることなく過ごす様が映される。壁の位置が切り替わると、3者はそれぞれ他の存在がいた地面に移動していく。展示された床面には、彼らの移動の痕跡が残されている。 撮影:リョウイチ・カワジリ

 

「見えない壁」で感じる近さと遠さ


――「遠い誰か、ことのありか」展に《私たちは壁をつくることができる》を出品したきっかけと経緯を教えてください。

対面で人と会いにくくなったコロナ禍でテクノロジーに何ができるかというテーマを頂きました。zoomとか、遠くにいるけど近くにいるようなテクノロジーが注目されるようになりましたよね。最初はそこに注目して作品を作ろうと思っていたんです。でもコロナ禍で印象的だったのが、ロックダウンで人がいなくなった街にたくさんヤギが来たというニュースでした。なぜ今まで街に動物がいなかったのか。私たちの生活が、動物にとって壁を作っていたんだと考えるようになりました。

近くにいるけど交わらずに他者といることは既に起こっています。あまり感じていないけれど、それを凝縮して見せられたらすごく面白いなって。普段気づかない分断を自ら作ったとき、そこに生まれる状態は壁をつくる前とは変わる。実際にその状況が見たかった。そのため、できるだけシンプルで極端な壁を作って、痕跡を見えるようにしました。

これから、分ける技術を使って社会がデザインされていくと思います。その時世界がどう見えるか、めっちゃいい方向に使えないか、農業的に例えるなら三圃式農業とか。

――ああ、聞いたことがあります!
「見えない壁」を使って実際に起こっていることを凝縮して客観的に見ると同時に、循環させる構造を膨らませてみたら面白いと思って作りました。

――今回の作品について、VR ゴーグルをはずして、ルンバとカタツムリの存在と痕跡に対面したときに、どのような感じがしましたか?
自分で実験していた時はめっちゃ怖かったです。何も見えないので、カタツムリを踏むんじゃないかと思ったり、時々ルンバに轢かれたりして、すごく怖かったです。VR ゴーグルをはずしたら、ほっとしました。展示作品の映像に映っているのは私じゃないんですけど、傍から見ていてそんなぎりぎりまで行けるんだ、という緊張感が見たかったので、面白かった。うん。怖かったです(笑)。

――VR ゴーグルをしている状態で、カタツムリは見えるんですか?
自分の手しか見えません。床と壁しか見えていない状態です。壁を信じるしかないんです。すごく怖いと思います。人とカタツムリが生きる場所って基本的に違う。今の暮らしの中で、科学的に、技術的に分けながらも一緒にいる状態で感じる近さと遠さが見たかったんです。

――作品で使用される素材はどのように選ばれていますか?
今回の作品では、最初にこういう光景が見たい、こういうシステムが作りたいというところから何が使えるかを考えていきました。まず選んだのはルンバとバーチャルウォールという既にある技術でした。他に区画を分ける「見えない壁」は何があるか、どんなメンバー(素材・技術)なら作品で伝えられるかと考えて集めました。 実際にある技術と自分の関心が結びついて物語が生まれます。そして一つずつその物語に登場するメンバー(素材・技術)が入っていく感じですかね。

(3ページ目に続く)

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