「齋藤玄輔 THIS PLACE THIS TIME 2020 sapporo」特別企画①~齋藤玄輔さんに技法をレクチャーしてもらおう~
齋藤玄輔|THIS PLACE THIS TIME 2020 sapporo
2020 02/23
|ー2020 03/29
UP:2020/03/16
2020年2月22日、札幌市民交流プラザ2階 SCARTSモールCで開催されている札幌文化芸術交流センター SCARTS 公募企画事業「THIS PLACE THIS TIME 2020 sapporo」の作品制作をされた齋藤玄輔さんに、作品の技法を教えていただきました。
齋藤さんの作品は、青いカーボン紙を押し花から作った版に被せて擦り、インクが削りとられた個所に光を透過することで植物の姿を浮かび上がらせています。
実際に今回の作品に使われたという版をお持ちいただきました。ハレパネ(糊付きパネル)の粘着面に押し花を貼り付けた後に、フィキサチーフ(定着剤。鉛筆や木炭デッサンの描線の保護に使う)で粘着力を弱めたものです。齋藤さんは500以上も版をお持ちだとか。見せていただいたものは何度も使用されてへこみが…凄まじい…!
スプレー糊で適度な粘着力を保ちつつカーボン紙を固定し、コットン玉でインク面を擦ります。版の下にライトボックスを敷いて光を透かしたり、時々カーボン紙をめくったりしながらこする部位や程度を調整します。齋藤さんが作品に使うのは工場から入手した70㎝×50mのロール状の大きなカーボン紙!幾多の版を次から次へと当てていきます。
版の凹凸が激しく穴の開いてしまった場所をメンディングテープで補修したり、カーボン紙の裏側から青い極細ポスカで擦れた輪郭線を明瞭にしたりします。
細かい作業へのこだわりが高い完成度の秘訣ですね!
今回の作品の制作には1年かかっているとか…
齋藤さんから今回の作品について色々なお話が聞けました。
植物を用いるのは造形の面白さに由来し、
特にその観点から病葉を作品に取り入れていること。
版に用いる押し花が生活環境の中で集まっていく様子。
事前にグラフィックでつくった設計を制作時に即興で変更してゆくこと。
ご本人の指紋から全体としての形をつくったこと…
技法を学び、お話を聞くと、作品との距離感がグッと縮まったような気持ちになれました。
齋藤玄輔さん、ありがとうございました!
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~企画に参加したメンバーのコメント~