キスリング展 エコール・ド・パリの巨匠
キスリング展 エコール・ド・パリの巨匠
その他
2020 05/26
|ー2020 06/28
UP:2021/08/22
両世界大戦の狭間の1920・30年代のパリで開花したパリ派は、豊かな個性を穏やかに表現する具象的傾向の作家が多かった。ポーランドにユダヤ人として生まれたキスリングもその一人で、1910年パリに赴き彫刻家を志していたが、空きがなく画家の道を選んだ。
展示されていた90数点の絵画のモチーフは、人物、裸婦、花、静物、風景と広範囲に渡っていた。セザンヌやピカソの影響を受けたのだろうか、色の鮮やかさと写実的な表現の中に立体感のある作品が多かった。人物や裸婦の眼差しはどこかを見つめているようで、メランコリックで甘美な表情は各作品に共通していた。静物は超写実的でいずれも背景に変化があり、主題の鮮やかさを際立たせていた。
中でもミモザの作品に惹かれた。青を背景に小さな無数の黄色の花弁を一輪一輪丁寧に描き、あかもミモザが宇宙に輝く星のようにも、また、夜空に一瞬輝いた大輪の花火のワンシーンにも見えた。儚い美を生命力のある永遠の美に変えた名作である。