心地よい距離ってどのくらい?

BENIZAKURA ART ANNUAL2021 交わる水―邂逅する北海道/沖縄

紅櫻公園
アート

2021 10/01

2021 10/31

UP:2022/06/07

「BENIZAKURA ART ANNUAL2021 交わる水―邂逅する北海道/沖縄」が紅櫻公園にて開催した。そこでヒデミニシダのインスタレーション作品「Fragile Island」を鑑賞した。ヒデミニシダの作品の魅力は建築的な手法で風景と人を結び付ける発想だと感じた。

「Fragile Island」は題名のとおり“壊れやすい島”である。

作品は、公園内の池の上にスチロールの浮力だけでぷかぷかと浮かぶ島だ。浮島の構造は木材で作られたシンプルなものだ。島には同じ構造の桟橋が架かっていて、すれ違うことが難しいほどの狭い。まず橋に足を踏み入れると、大きな構造物が浮力だけで浮いていることに驚かされる。重心を変えるたびにぐらりと揺れて気が抜けない。

数人で島に乗ると“不安定な場”だからこその対話のかたちに気づいた。桟橋の入り口には体重制限や間隔を5m以上空けて乗るように注意書きがある。実際に乗ってみると意味がわかる。誰かが動くと揺れを感じ、他人と近づきすぎると島が傾いてしまう。まるで動きの対話だ。

また、島の中心にたき火台がある。残念ながら雨でたき火を見られなかったが、周りに小さな箱いすが数個置かれていて、島が沈まないためには、たき火をはさんで座るしかない。相手の顔がみえて会話が弾むに違いない。

島上の仕草はコロナ禍のコミュニケーションと似ている。時にバランスを保つために留まり、風を感じる。時に周りに合わせて踏み出す。大切な事は互いに心地よい距離感を計りながら、自分の居場所を見つけることだ。

S.H

レポート

S.H