ニコラさん、頑張って!
ニコラ・プロカッチーニ デビューリサイタル
札幌コンサートホールKitara
音楽
2021 11/12
UP:2022/01/29
今回の演奏会で初めてKitaraのパイプオルガンの音色を聴いたが、新たに専属オルガニストに就任したニコラ・プロカッチーニ氏によってオルガンの魅力を十二分に感じることができた。
管の中に空気が通ることでパイプオルガンは音を響かせるが、演奏者の弾き方次第で流れる空気を音として聴きとれるのが面白い。流麗な音の移動で楽器の響きを最大限に聴かせる部分があれば、1つ1つの音を聴かせて繊細に弾くことで流れる空気をも演奏の1つにする。パイプオルガンが見せる表情は、思った以上に演奏者の意図する表現とリンクしていると思われた。
印象に残ったのは、演奏するニコラ氏の動きだ。手と足をフル活用して演奏するパイプオルガンの演奏者は、非常にダイナミックに動く。足で力強く鍵盤を押した時には、様々な音と溶け合った重低音がホール中に響き渡る。リズミカルに身体を動かして楽しそうに演奏している時は、煌びやかな音色が響き渡って美しい。もちろん楽器を演奏する上で身体がひとりでに動くことはよくあるが、パイプオルガンの演奏者を見ていると全身表現をしているように見えた。
また、ニコラ氏は演奏後の拍手に応えてお辞儀をした時にホッとした表情をしているように見えた。専属オルガニスト就任公演で緊張していたのかもしれないが、大舞台の演奏を終えて安心した素振りから近い世代の人間として親近感を覚えた。おこがましいかもしれないが、一人の人間として「お疲れ様!」と伝えたい。そして、今後の演奏会でニコラ氏が伸び伸びと素晴らしい演奏を届けてくれることを期待する。