【札幌国際芸術祭】アーティストインタビュー:プシェミスワフ・ヤシャルスキ、ライナー・プロハスカ

札幌国際芸術祭2020プレイベント「きる・はる・つなぐ・つみあげる」

札幌市役所 1階ロビー
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2019 11/20

2019 11/24

UP:2020/06/16

札幌市役所で開催されたワークショップの様子
Przemyslaw Jasielski, “Rigid Paper Construction Workshop, 2019”

札幌市役所でのワークショップを通して

中川:おふたりとも、既成の工業製品をよく使われているような気がしますが、何か意味がありますか?

ライナー:どこでも手に入れられるものを使うということが大事だと思っています。もちろん、自分たちの手で作ることも大事です。しかし今回のような参加型のワークショップをやる時には、参加する人たちがとくにスキルを必要とせずにすぐに参加できるようなかたちにしています。

シェモ:やっていることはすごく単純なのですが、それがどんどん積み重なることによって、びっくりするような面白いことや、「こんなものができるの?」というような、驚くようなことが起こります。プロジェクトとしては、そういうことが作品になっているのではないかなと思っています。

Photo by Noriko Takuma

 

石黒:今回のワークショップでは、毎日違う建造物を作っては壊すことを繰り返していましたが、そのことに何か意味はありますか?

ライナー:素材が限られていたこともありますが、形状が変化していくこともコンセプトのひとつでした。何かが立ちあがって、無くなって、また新しいものが立ちあがっていくという変化です。人間はものが永遠に変わらぬままそこにあると信じがちですが、私はそのような考え方はあまり好みません。「作っては壊す」を繰り返すことは、生きることに非常に近いことだと感じています。ヨーロッパでは古いものをとても大事にしますが、それをきちんと守ろうとする時には、膨大なお金と時間、エネルギーを必要とします。

杉谷:今回のシェモさんの作品が、市役所のエントランス床のタイルからインスピレーションを得たことをとても面白いと思いました。

シェモ:床のタイルが三角形だったことから、この椅子の作品のデザインができました。今回皆さんには、三角形でまず強度を保った基本的な支柱を作り、そしてそれをいくつも作ればさらに強いものができるという、技術的なところを知ってもらえたと思います。また参加者には、三角形という形を使うと何でも作れるということを伝えていました。椅子以外にもテーブルや、特に用途のないオブジェでも。紙を使ったワークショップでは実はなんでも作れます。

 

杉谷:今回のワークショップでは、組み上げて作った建物や椅子を使ってお茶会を開いていました。これは、日本の「茶室」を意識したのでしょうか。

ライナー:まさにそうです。背景には、藤森照信氏という建築家が作った茶室の存在があります。彼が作る茶室は日本の伝統的なものに比べるとかなり奇想天外なものが多いのですが、私はそこから影響を受け、概念的な茶室を実験的に作ってみました。

石黒:狭さや天井の低さは、その影響を受けていますか?

ライナー:もちろんです。日本の茶室の入り口がとても小さいことは知っていたので、この茶室も同様に小さくしています。加えて今回の茶室に限って言うと、屋根の高さはむしろシェモの紙の柱に合わせたものになっています。

ワークショップで行われた「お茶会」の様子(Photo by Noriko Takuma)

 

石黒:では最後におふたりにお聞きしたいのですが、また札幌に戻ってきたいですか?

シェモ・ライナー:もちろんですよ!

ライナー:私は「料理」をテーマに作品を作ったりもするのですが、札幌は他のどの街よりも料理のバラエティに富んでいます。レストランの数も多いし、どこも美味しい。最高です!今回の滞在中に街中の散策もしたのですが、みなさんとても親切でホスピタリティに溢れている街だな、ということも感じました。

シェモ:これまで、日本の人々は静かで、あまり積極的にコミュニケーションしないようなイメージがありましたが、印象が変わりました。皆さんとても親切で陽気だし、僕の想像を遥かに超えるおもてなしをしてもらいました。

ライナー:もうひとつ言わせてください。今回のワークショップで使ったラチェット式ベルトは、シンプルに見えて使うとなると実は結構難しいのです。過去にいろいろな場で同じようなプロジェクトをやってきましたが、正直今回の札幌での成果が一番です!

一同:拍手

ライナー:札幌の皆さんのおかげで、とても良い作品ができました。これがとても重要なことです。

一同:ありがとうございます。

(了)


プロフィール

ライナー・プロハスカ(Rainer Prohaska)
1966年オーストリア生まれ。ウィーン(オーストリア)を拠点に活動。日常の物や現象に目を向け、ユーモアたっぷりにアートの世界に落とし込んだ作品を制作。2002年からは、アートを通して生態学とサステナビリティー(持続可能性)に関する問題を提起するプロジェクトに取り組む。ドナウ川に関するアートプロジェクトに加え、北京、上海、香港、モスクワや、クラクフ(ポーランド)のモクアク美術館、ロサンゼルスのMAKセンター、トロントのルミナトフェスティバル、クリーブランドのトランスフォーマーステーション、ウィーンのアルベルティーナ美術館で展覧会やプロジェクトを実施。
www.rainer-prohaska.net

 

プシェミスワフ・ヤシャルスキ(Przemyslaw Jasielski、愛称:シェモ)
1970年、ポズナン(ポーランド)生まれ。同地を拠点に活動。インタラクティブインスタレーション、オブジェ、ドローイング、写真などの多様な形態で作品を制作し、アートと科学技術を融合させる。緻密な計画と科学的なリサーチのもと、批評的でコンセプチュアルな内容にフォーカスし制作に取り組む。その作品は、時に実験的で、不愉快に感じられるような問いをも投げかける。作品の多くは日常生活における習慣を扱ったもので、現代社会で生きることにより凝り固まった現代人の想像力や知恵を解放する。現実世界の捉え方を変容させてみせることで、鑑賞者は新鮮な視点で現実に向き合うことが可能になる。それらの作品はしばしば、一般的には不可能、無駄、もしくは非効率的とされる行為を伴い、常にある種の批判的なユーモアが含まれている。
http://www.jasielski.com/


札幌国際芸術祭20202開催概要

<名称>
札幌国際芸術祭2020(略称:SIAF[サイアフ]2020)
Sapporo International Art Festival 2020(英語)
Usa Mosir un Askay utar Sapporo otta Uekarpaウサ モシㇼ ウン アㇱカイ ウタㇻ サッポロ オッタ ウエカㇻパ
(アイヌ語)

<テーマ>
Of Roots and Cloudsオブ ルーツ アンド クラウズ:ここで生きようとする
Of Roots and Clouds(英語)
Sinrit/Niskurシンリッ/ニㇱクㇽ(アイヌ語)

<会期>
2020年12月19日(土)〜2021年2月14日(日)

<主な会場>
札幌市民交流プラザ
モエレ沼公園
札幌芸術の森

北海道立近代美術館
mima 北海道立三岸好太郎美術館
札幌市資料館
札幌大通地下ギャラリー500m美術館

<HP>
https://siaf.jp/


 

 

 

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