絵本原画展の魅力満載! せなけいこ展

『ねないこだれだ』誕生50周年記念 「せなけいこ展」

北海道立文学館
アート

2020 06/02

2020 07/26

UP:2020/07/07

チラシの「おばけ」に誘われて、北海道文学館で開催されている「特別展『ねないこだれだ』誕生50周年記念~せなけいこ展」に行ってきた。現在、新型コロナ拡散防止のためインターネットでの事前予約制をとっているが、電話をすると当日予約でも観覧できた。駐車場の警備さんに予約の有無を聞かれ、エントランスでの検温と手の消毒をしてからの入場だ。

絵本原画展は、子どもにとって“はじめての美術館”体験になる場合が多く、誰でも気兼ねなく、幅広い世代が鑑賞できるところがいいなあ、と私は思っている。この日も乳幼児を連れた若いお母さんが、懸命に子どもに語り掛けながら鑑賞する姿が見られた。関連イベントにも参加をすると、かなりの満腹感が得られるのであるが、ワークショップ「めがねうさぎのポップアップカードをつくろう!」は、残念ながら早い段階で中止を決めたという。

絵本の読み聞かせイベント企画では、子どもたちを飽きさせないよう、手遊びや工作アイディアを考えねばならず、自分の音楽や美術の引き出し不足によく悩んだ。そんな時に助けてもらったのが、「せなけいこ絵本」からの貼り絵づくりだ。そこでは、ごはんには天ぷら、寝かしつけにはおばけのお話はいかがでしょうか!と締めくくる。おうちに帰ってからも楽しめる、持ち帰れることができる“おみやげ要素”がたっぷりあるところが、せな作品の最大の魅力だ。子どもが「にんじん」や「めがね」と上手に付き合えるようにとの親心から生まれた作品は、センスの良い色合わせで、どれもほっこりする。子どもを見るために、制作の手を止められる画材にしたという点もさすがである。真似しようとしても真似できない。基礎がしっかりした彼女の独創性と母親力には脱帽なのだ。

本特別展では、日本の紙文化や伝統芸能のことも考えさせられた。道立施設のネットワーク動画「北海道リモート・ミュージアム」から展示会場を覗くことができるのでお勧めだ。大人は大概、絵本の字を追う役目があるため、絵には子どもほど注視できない場合が多いのだが、絵本の絵だけをじっくり見る機会があると、新たな発見があって面白い。

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