安田侃彫刻美術館 アルテピアッツァ美唄を訪れて

安田侃彫刻美術館 アルテピアッツァ美唄

安田侃彫刻美術館 アルテピアッツァ美唄
アート彫刻

2020 10/18

UP:2021/03/21

先日(といっても数か月前だが)、私が安田侃彫刻美術館 アルテピアッツァ美唄を訪れた時の話をしたい。

アルテピアッツァ美唄は、北海道美唄市にある美術館である。同市出身の彫刻家、安田侃の作品を集めており、廃校となった旧栄小学校の校舎を利用して、約40点の作品を展示している。

展示といっても、作品の半数は屋外にそのまま置いてある。説明書きの看板すらない。思いのままに作品に触れて肌で大理石の感触を楽しむことができる。よじ登って、体重を巨石に預けてもよい。我々は、自由に彫刻を楽しみ、自由に解釈することができるのだ。これは安田の意向でもあり、作品の解釈に正解はなく、作品に触れた人間が何か感じたらそれがその人の解釈なのだという考えのもと、展示がなされている。

安田の作品は、滑らかで丸いもの、または柱・門のような形のものが多い。札幌駅南口にある白いドーナツ型の妙夢をご覧になった方も少なくないのではないだろうか。赤血球のような、あるいは近未来の宇宙船のような丸い大理石の滑らかな表面に触れると、私は奇妙な落ち着きを覚える。悩みが体温とともに大理石に吸い込まれていくようだ。人間一人では動かすことも壊すこともできない圧倒的な存在、そして滑らかで敵意の無い存在を前に、日常の面倒なことやつらいことを忘れていいような、そんな気持ちになったのだと思う。周囲の自然や、木製の旧校舎も相まって、非常に落ち着いた時間を過ごすことができた。

さて、アルテピアッツァ美唄は札幌から特急で35分の美唄駅からバスで20~30分、入場料は無料(任意の寄附)である。毎月第一土・日曜に「こころを彫る授業」と題して、彫刻教室を開いている。『自身のこころと向き合いながらコツコツ石を彫る時間』(公式HPより)を大自然の中で過ごし、日々の喧騒を忘れて自分の心を整理するのもいいかもしれない。

公式HP: https://www.artepiazza.jp/

村松英一郎

レポート

村松英一郎