上原ひろみ 札幌文化芸術劇場hitaruに登場!

Hiromi Japan tour 2019”Spectrum”

札幌文化芸術劇場 hitaru
音楽

2019 11/21

UP:2020/04/30

昨年11月、Hiromi Japan tour 2019”Spectrum”を聴きに行って来ました。初めて上原ひろみの弾くピアノを聴いたのは「Haze」という曲を演奏した民放のTV番組でした。音が煌めき、うねりながら心を揺さぶる演奏で、それ以来彼女のファンになり今に至っています。今回は待望のソロ・ピアノです。


CDジャケットと同じ衣装で舞台に登場すると、オープニングは、アルバム1曲目の「Kaleidoscope」。ピアノの前に座り、祈るような一瞬の静寂ののちに、第1音を鳴らした瞬間から会場をHiromi Worldへ誘います。静かな単音の繰り返しの中に、不穏な音が見え隠れし、まさに万華鏡を目の前で回転させているかのように、刻刻と景色を変えて行きました。1曲目から全力疾走。指が低音から高音まで鍵盤を縦横無尽に動き回る姿は、いつ見ても圧倒されます。
曲間のMCで述べた、「今日、この時間、この場所でしか出来ない音楽を皆さんと一緒に探して行こうと思います!」という言葉が心に響きます。そして自身が、この日演奏していたhitaruのヤマハグランドピアノの選定者であり、とても光栄に思っているとのこと。札幌市民としてとても嬉しく思いました。
アルバム収録曲をすべて網羅したライブでしたが、彼女は即興演奏を得意とするジャズピアニストであり、hiromi節全開だったのは最後の曲「Rhapsody in Various Shades of Blue」です。アルバムでも20分超えの長尺の曲ですが、終わるのを知らぬがごとくの演奏で、まさに圧巻、曲の間で何度拍手をしたでしょう。演奏が終わった時、彼女が右腕を上げてガッツポーズをしたのが目に焼き付いています。
Tシャツ姿に早替りしてのアンコールは、「Sepia Effect」。彼女曰く、靄の中にあるような音色を意識したとのこと。…沁みました。
今回のアルバムのテーマは「色彩」。ほぼすべての曲のタイトルに色がついているように、まさに白鍵と黒鍵から生み出される音が、色彩となって会場全体に広がっていく、そんなライブでした。いつの日かhitaruのスタインウェイ社製ピアノ選定者であるユジャ・ワンとの競演を聴いてみたいと思う。上原ひろみというピアニストに出会えて本当に良かった。

宮川正明

レポート

宮川正明