アーティストインタビュー:真吏奈

ONE ~ひとりの女性~

SCARTSコート(札幌市民交流プラザ 1F)
PICK UPTOPスライドアート特集

2022 03/09

2022 03/16

UP:2022/03/31

創作を支える江差の原風景

鈴木:真吏奈さんの作品には動物がよく登場しますが、動物を描く理由はなにかありますか?

真吏奈:女性の守護神として描くことが多いですね。ライオン、トラ、クジラ、クマなどの大きくて強い動物と女性という組み合わせが好きです。動物だけの作品は、もう描かないかなと思っています。

鈴木:ほかに描いていて楽しい生き物はありますか?

真吏奈:海の生き物や爬虫類は描いていて楽しいです。見た目がちょっと気持ち悪い生きものも、絵にしたらすごく素敵なんですよね。毒っ気のある生き物や人に嫌われがちな生き物がもともと好きで、そういう生き物こそアートとして映えるのではないかと思っています。そこに共感して絵を見てくださる方がいたらうれしいですね (笑) 。

鈴木:最近の真吏奈さんの作品には、雲が描かれていることも多いですよね。真吏奈さんにとって、雲はどのような存在ですか。また雲にこめている思いは、なにかありますか?

真吏奈:「女性を守ってくれるもの」という思いが強いですね。空想世界を表現するためのモチーフとして描いている部分もありますし、最近は女性の裸を隠すために雲を描くことも多いです。雲は昔から好きでよく描いていました。母の実家が江差町という小さい町にある古いお寺なのですが、お釈迦様が雲に乗っている絵が飾られていたんです。小さい頃よくそういう絵を「かっこいいな〜」と思いながら見ていたので、その印象がずっとしみついているんだと思います。ちなみにそのお寺、幽霊が出そうなところなんですよね(笑)。

鈴木:なるほど(笑)。動物にしても雲にしても、真吏奈さんにとっては「女性を守る」イメージが強いんですね。

真吏奈:そうですね。「女性は強いもの」だとは思っているのですが、その強さの奥底には弱さもあると思うんです。女性や子どもは社会が守るべき存在だと思いますし、命は女性から生まれるものなので、女性を大切にしないといけないという想いがあります。

鈴木:真吏奈さんの作品には幻想的な印象を与えるものが多いなと思うのですが、現実世界と空想世界のどちらを描くのが得意ですか?

真吏奈:実は、女性誌から依頼されるビジネス女性のリアルな姿を描くのが一番難しいです(笑)。現実世界の女性がどんな洋服を着てどんなことをしているのか、ものすごく時間をかけて調べます。そして調べれば調べるほどわからなくなって……。空想の世界だと、なにもなくてもすっと描けますね(笑)。

鈴木:真吏奈さんの絵には日本画っぽいところもありますよね。それもお母さんのご実家の和の環境からきているものですか?

真吏奈:そうだと思います。江差町には「姥神大神宮渡御祭」という370年以上続くお祭りがあるんです。北海道で一番古いお祭りだともいわれているんですよね。町の人しか参加できないのですが、私は母の実家があるので毎年参加していました。山車やお囃子が素晴らしくて、町の人々の熱狂ぶりもすごいんです。私はとにかくそのお祭りの雰囲気が好きで、参加する度に強烈な刺激を受けるんですよね。そのお祭りへの思いが絵にも表れているのかな、と思います。葛飾北斎や伊藤若冲も好きですね。波などの日本画的な模様は私の幻想的な世界観と合わせると一見アンバランスなのですが、そういう和洋折衷のテイストを描きたいな、という思いもあります。日本のかっこいいところを伝えたくて日本画のモチーフを入れているというのもありますし、海外でも作品を観てもらいたいという思いも強いです。

「ONE 〜ひとりの女性〜」展に向けて思うこと

鈴木:2015年にSPACE SYMBIOSISで開催された「僕のマドンナ展」では、絵と写真を融合した作品を作られていましたが、従来のイラスト作品と異なる点はなにかありましたか?

真吏奈:そうですね。出来上がった作品が必ずしも自分のイメージ通りにはならない、というのがイラスト作品と違うところかもしれません。最初は何もわからず手探りで作っていたので、仕上がりを見て満足できる作品とそうでない作品の差が結構出てしまったんですよね。自分の絵ありきで作ったために写真のモデルさんのイメージと合わなくて作品全体が崩れてしまった、ということもありました。イメージ通りにならなかった作品については、もともと考えていたイメージと180度変えて作り直したりもしたので、なかなか大変でした。

鈴木:2022年3月にSCARTSで開催される「ONE 〜ひとりの女性〜」展でも、絵と写真を融合した作品を作られるんですよね。

真吏奈:はい。「僕のマドンナ展」では、良い作品を作るにはモデルさんのイメージに合う絵を考えなくてはいけない、ということを学びました。ですから、今回は最初からモデルさんのイメージに合った絵を描く、もしくは描いた絵にマッチするモデルさんを探すということを意識しました。また、「僕のマドンナ展」のときは私がうまくイメージを形に表すことができず、フォトグラファーさんとヘアメイクさんを困らせてしまったことがありました。今回は、事前に「このモデルさんでこのライティングだったらここまではできるね」というような話し合いをかなりしたので、制作が始まってからはとてもスムーズに進みましたね。仕上がりが自分のイメージと少し違っても、写真がすごくよかったり、作品の世界観がモデルさんにマッチしていたりしたら、「これでいこう!」と先に進むことができました。とてもよい雰囲気のなか楽しんで制作できたので、それが作品にも反映されているのではないでしょうか。ワクワク感が出ているといいな、と思っています。

鈴木:最後に「ONE 〜ひとりの女性〜」展のテーマが「ひとりの女性の生き方」となっていますが、真吏奈さんにとって「理想の生き方」とは、どのようなものでしょうか?

真吏奈:今は自分の好きな仕事をしながら、育児もできているので、周りの家族の理解のおかげで理想の生き方に近い状態かもしれません。好きなことをして暮らせていけたら幸せですよね(笑)。結局は、それに尽きるのではないでしょうか。あとは社会が女性にとっても男性にとっても、もっと生きやすいものになればいいですね。コロナが落ち着いたら、海外で展示会をしたり海外の人と交流したりして、日本文化のかっこよさをもっと広めていきたいな、と思っています。

(了)

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